サロン経営をしていく上で(というかあらゆるビジネスで)、必ず把握しておかなければいけないのが「お客さんが自分のサロンにいくら使ってくれるか?」という金額です。
お客さんが使ってくれるお金は当然初回の来店だけじゃないので、リピート・店販も含めてを計算しておくことが必要。
いわゆるLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)です。
本来はお客さんの価値は「一生分」で計算するべきなんですが、1年後とか2年後に払ってくれる売上まで考えたところで、現実ではサロン経営が成り立たないですよね。
そこで、まずは自分のサロンのキャッシュフローの状況を考えて、「●ヶ月以内に発生する売上」って感じで計算してみよう。
よくわからなければ、とりあえずは3ヶ月分のLTVでOK。つまり、「1人の新規のお客さんを獲得したら、3ヶ月以内に自分のサロンでいくら使ってくれるか?」ってことです。
目次
なぜLTVを知っておくと「得」をして「損」をしないのか?
「で、それがうちのサロンの何の役に立つん?」と思う人がいるかもしれないので、LTVを把握しておくとどういうことができるかというのを順に説明していきます。
1.お客さんの本当の価値を把握
LTVがわからないということは、本当のお客さんの(もたらしてくれる)価値がわからないということ。つまり、1回1回の来店での売上(利益)のみで考えちゃうってことです。
初回来店でお客さんが平均5,000円を払ってくれるとしても、実際のお客さんの価値は5,000円じゃないですよね。
リピートしてくれれば、その後に更に売上をもたらしてくれるし、店に置いてある商品を買ってくれれば、その売上もプラス。もっと言えば、初回割引で新規集客をしているなら、その後のリピートではもっと客単価が上がりますよね。
初回来店時の売上はあくまでも「みせかけ」の価値。「本当」のお客さんの価値を正確に把握しておこう。
2.集客に使える費用(広告費)を考える
仮に初回来店の売上が5,000円、3ヶ月LTVが15,000円だとしましょう。厳密にはこれは売上であって利益じゃないんですが、ここではシンプルに全部利益と仮定。(あなたが計算する場合はしっかりと経費を引いておこう)
初回来店のみの売上で考えている場合、顧客獲得単価(1人のお客さんを獲得するのにかかった費用)が5,000円を超えたら赤字です。
でも、実際は赤字じゃないですよね。5,000円かけて集客をしても、3ヶ月で考えれば15,000円が入ってくるので。
キャッシュフローを考えて3ヶ月で15,000円をLTVと仮定していますが、実際は4ヶ月目も5ヶ月目もあるわけだから、もっと多くの売上が発生していることになります。
3.感情に左右されずに「得」を選ぶ
僕はいつも「広告費は出費じゃなくて投資」ということを言っていますが、実際には「投資」として割り切って広告費を支払える人っていうのは少ないです。
やっぱりお金が出ていくっていうのは誰でもイヤですからね、気持ちはわからなくもないです。でも感情で判断して「お金を払わない」ことを選択してしまい、その結果「大損」していることが多々あります。
明確な数字が出ていれば、「出費が増えるのイヤだなー」っていう感情じゃなく「本当はどっちが得なんだ?」っていうのを冷静に判断することができます。
あるクライアントさんの例
ひとつ例をご紹介。
うちのクライアントのあるネイルサロン経営者の方に3ヶ月分のLTVを計算してもらったところ、約25,000円だってことがわかりました。
ホームページ集客(リスティング広告)でかかっている顧客獲得単価は約700円。つまり、700円払えば25,000円をもらえるわけです。(うらやましいw)
この数字自体は超優秀なんですが、広告費を抑えることによって機会損失(お客さんを逃している)も多い可能性がかなり高いです。
例えば、今の段階で月に20人の新規集客をしているなら、広告をもっと攻めて新規集客を30人にしたらどうなるか?
10人の新規客が増えれば25,000円✕10人=250,000円の売上が増えますよね。増えた広告費なんて余裕で回収だし、費用対効果が多少落ちたとしてもビクともしません。
もう1つがチラシ。
この方はネイルサロンのスタッフや自分自身でチラシを撒いていたので、ペースが遅かったり頻度がまばらでした。そこで「業者を使って撒いたらどうなるか?」を計算してみます。
あくまで予測値ですが、業者を使っても顧客獲得単価は3,500円ということが判明。ということは、3,500円を払えば25,000円がゲットできるわけです。(うらやましいw)
チラシを自ら撒いていれば、業者にお金を払わずに済むので顧客獲得単価はもっと下がりますが、サロン業務の空いた時間に撒ける枚数なんてたかが知れています。
「業者を使わずに出費を抑える」というのは、得しているどころか実は大損しているってのがわかりますよね。このクライアントさんは超優秀な人なんですが、こういう優秀な人でもハッキリとした数字が見えなければ感情で動いて損をしてしまっているリスクがあるってことですね。
損をせずに得をする
サロンのコンサルティングをやっていると「え、なんでもっと投資しないんですか?超もったいなくないですか?」ってケースが、かなりあります。
この「損」と「得」を正確に把握するために大事なのが、今回解説したLTV。LTVがわかると、感情や感覚じゃなくて、ハッキリとした「数字」だけで判断ができます。
「お客さんを獲得するのに一人あたり3,500円の出費」という情報しかなかったら出費を躊躇しますけど、「3,500円払えば25,000円入ってくる」ってわかれば、むしろたくさんやりたくないですか?
「いや、別にやりたくない」って思う無欲な人はある種の悟りの境地に達してらっしゃると思いますので、ワタクシめのような欲にまみれた凡人が申し上げることはなにもございません。
このネイルサロンのクライアントさんも、この数字を見るまでは「出費はもったいない」と思っていたみたいです。でも、今回のような説明をしたら「すぐやります!キリッ」と決断してくれましたw
あなたも「損をせずに得をする」ために、LTVをいちど計算してみてはどうでしょう?もしかしたら、「げげ!めっちゃ損してたじゃん!」なんてことが発見できるかもしれませんよ。
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